第131回:ピックアップニュース「特養ホームでアメーバ経営」

第131回はニュースを取り上げます。
「ロマン(法人理念)を実現するためソロバン(アメーバ経営による生産性向上)をはじく」。東京都町田市の社会福祉法人合掌苑(森一成理事長)の経営を端的に表すとこうなる。指標となる「時間当たり採算」の最大化に向けて各現場で改善を繰り返し、質の高いサービスと職員満足の向上を目指している。  アメーバ経営とは京セラの稲盛和夫氏が考案したもので、「組織を細分化して小集団(アメーバ)で採算を管理すること」。最大の特徴は全職員が経営に参画することにあり、神尾昌志・営業統括部本部長は「目の前のケアだけでなく、激変する環境下では職員も経営を意識する強い組織にならないと生き残れない」と7年前に導入した狙いを話す。

■42のアメーバで管理
現在アメーバは特別養護老人ホームの各ユニット、訪問介護、通所介護、医務、調理、入浴など計42ある。目指すのは「収入―経費÷総労働時間」で計算する「時間当たり採算」の最大化だ。各アメーバで年次目標を決め、達成に向けて自主的に改善を重ねる。月1回、全アメーバリーダーが集まる経営会議で情報を共有する。具体的な取り組みはシンプルで「売り上げを上げるか」「経費を減らすか(コストの最適化)」「労働時間を削るか(労働時間の最短化)」の三つ。例えばコストの最適化では、通所介護の入浴時にシャンプーを2~3回プッシュしていたのを、利用者の毛髪量などを勘案してプッシュ1回で最適量とし、全体の使用量を2分の1に減らす。労働時間の最短化では、10人の部署で2人休むとすると、8人で10人分の仕事をするにはどうするか創意工夫する。こうした一つひとつの取り組みを各現場で考えて実践することで生産性も向上していく。 ただし利用者に不利益があってはならない。ロマンを実現するためのソロバンであり、法人では理念「人は尊厳をもって権利として生きる」などを全職員で共有するため、フィロソフィー手帳を配布し、毎日理念研修を行うなどして徹底している。

■総労働時間が減少
アメーバ経営導入当初、コストの最適化で収益が約3000万円上がり、5年間で総労働時間が11%減った事業部があるなど一定の効果が出ている。特に労働時間の最短化は働きやすさ、職員満足の向上につながっている。神尾氏は「コミュニケーションが活発になるなど数字以外の効果もたくさんある」と言う。ヘルパーステーション輝の杜のアメーバリーダーの永原千代子さんは「以前は大まかに収益を把握している程度だったが、今は利用者が入院すると減収するので新規利用者を獲得する、労働時間を最短化するなど経営に目がいくようになった」と意識の変化を話す。

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